パリ市近代美術館で開催されている『キース・ヘリング展』を見てきました。
展覧会のテーマは『ポリテイカル・ライン』。 ヘリングの作品を政治的な観点から見たものでした。
政治、宗教やお金等の「権力批判」を絶えず表現してきた彼の作品がこれだけまとめて展示されたのはおそらく初めてでしょう。
80年代初めに、ちょうどこの美術館の最上階にある『ARC・2』で米仏の若手アーチストを集めたグループ展があったのですが、
ニューヨークの地下鉄での落書きが話題になり始めていたストリートアーチスト、ヘリングの作品に衝撃を受けた記憶は今でも新鮮です。
この時期ですでに、彼が描いた直後に広告パネルを取り外すコレクターがいたそうです。
キース・ヘリングを最初に支持した画商はトニー・シャフラジ。彼自身、ベトナム戦争で米軍兵による『ソンミ村虐殺事件』で終身刑を受けた中心人物がわずか3年で仮釈放された事への抗議で、当時MoMAにあったピカソの大作『ゲルニカ』にスプレーで落書きした事で知られています。
1980年代にローマ法王やレーガン大統領のエイズ患者に対する態度を厳しく非難する作品。
1988年にヘリング自身もHIV感染が発覚するのですが、
それ以来彼はエイズ感染撲滅運動に積極的に参加するようになり、そしてこの運動を中心とするキース・ヘイリング財団を作ったそうです。
1990年2月に31歳で死亡。。。
今では彼のグラフィックはTシャツやパンツのモチーフになったり、コーヒーカップのモチーフになっていますが。。。
この展覧会は彼の作品の根本にあった「権力者たちへの抵抗」を見事に見せてくれました。
31歳だったんですね…。
返信削除亡くなったときのニュースはうっすら覚えています。
あのときはおじさんだと思っていて(笑)、
その挑発的な作品群は私の知っている世界からは遠かったですね。
キャラクターグッズなんかで辛うじて親近感があったぐらいで。
しかし、今改めて見るとパワフルですね。
そしてその生き様も激しいものを感じます。
とっくにキースの年齢を追い越してしまって、
あの頃よりももっと世界のことを知るようになって…。
(ため息)
今思うと、本当に若くして他界してしまいましたね。
削除生前の彼のエネルギーを思うと残念です。。。