2011/03/01

はだしではしるアベベさん。。。

歴史にのこるアスリートの中でも『鉄人』と呼ばれたビキラ・アベベ。1960年ローマオリンピックでのマラソン競技でアベベ選手が終盤単独で走りつづけ一位でゴールした時、誰も彼の事を知らなかった。全く無名のエチオピア選手。しかも驚くことに全コースを裸足で走ったため大変なニュースになりました。イタリアの植民地だったエチオピアの国が世界にアピールしました。
勿論この競技は僕はリアルタイムでは見てませんが、その話題は凄かったようです。現に僕が小学生1,2年生の頃に持ってたカルタの中で『は』のカードが『ハ。はだしではしるアベベさん』というのがあったの憶えてます。(笑)
そして彼が東京オリンピックで見事に二連覇。盲腸手術をしたばかり優勝は期待されてなかったのですが、終盤圧倒的な強さでゴール。しかもローマ大会に続く世界新記録でした。無論前人未到の快挙でオリンピックでマラソンの世界最高記録を出したのは彼以後誰もいません。
アベベ選手はこの時は靴を履いてました。鬼塚の社長が彼に靴を送り続けていたらしいのですが、この日彼が履いていたのはプーマでした。「アマチュアオリンピック」だったこの頃は今のようにメーカーとの専属契約とかもなかった。なんといってもアベベは「いい靴がなければ裸足でいく」という人物だから、このプーマはよかったのかな~。(笑)

学校の体育館にみんなで座って見た市川崑監督の記録映画『東京オリンピック』。ラストがマラソンで貴公子のような横顔のアベベの孤独な走りに感動したっけ。。。


先日の東京マラソンで日本人一位の川内優輝さんは『市民ランナー』。まぐれでは絶対勝てないのがマラソン競技、川内さんは公務員の仕事をしながら、地道に自己流の練習をしてきたとの事。なんとも感動的な話ですね。
勿論企業団選手が自社のマークを着けて走る年間の走行距離は大変なものだと思います。。。そんな中で川内さんは何もついてないユニホームで二重の意味で『ノーマーク』の選手でした。
昨今、メディア過多のなか「箱根駅伝」などは各大学総出で行われてます。或る人の記事で「箱根駅伝のメディア露出過多が日本の男子マラソンの土壌を弱くしている」そして優秀な選手が「駅伝」のために燃えつきてしまうというのを読んだことがあります。確かに参加校の宣伝効果はすごいものなのでしょう。。。『広告塔』である学生選手は19歳から野外20万メートルの訓練をするとか。まだ体力のついてない身体には過酷としかいえないプログラム、そして「中距離選手」から「マラソン選手」に転向する前に燃えつきてしまうとか。。。
テレビ側ではドラマチックに番組を作るのが目的なのでしょうが、でも二十歳位の選手を「山の神」などと呼ぶのを聴くとちょいと興醒めします。。。選手にとって「無名時代」というのは重要な要素だと思うのですが。。。


ジャンルは変わりますが、ピアニストのモーリッツォ・ポリーニはショパンコンクールで若干18歳で優勝した後10年間パブリックから遠ざかり巨匠ミケランジェリに師事して自分の芸術を磨いたそうです。

サマランチ会長時代にオリンピックはクーベルタン男爵が掲げた『アマチュア精神』という近代オリンピックの最も重要な要素を切り捨て、「商業・営利優先」とシフトされてしまった。そんな中で「無名選手」の出番は全くなくなりました。。。


今回の東京マラソンでの川内さんの走りは『快挙』としかいいようがないですね。。。オメデトウ!

0 件のコメント:

コメントを投稿