殆どシーツのみだれていないベッドの上で、じいっと朝日をみつめる女性の姿(1952年)。 ホッパーの描く女性のモデルは殆どが夫人のジョゼフィーヌ(ジョー)だったそうです。
ホッパーはデッサンでもわかるように、かなり綿密に色彩の配合を準備しています。彼はモデルの女性の官能的な面よりも、絵画の構造的要素を重視してるような気がします。
彼があまり他の女性を描かなかった理由は、実はジョゼフィーヌがとても嫉妬深く他の女性を描くことを拒んだそうです。この中華料理店『Chop Suey』(1929年)で向かい合う女性は二人ともジョー夫人、まるで鏡をみつめているよう。。。
『夜のオフィス』(1940年)残業する部長さんとグラマラスな秘書の女性。足下の床に落ちた書類を拾うのに彼女が屈みこむ胸元に部長の目が。誰がこの書類を落としたのだろうか。。。なんて思いながら見てました(笑) ホッパーが描く女性がこんなに官能的なのは珍しいです。
ちょうど、H・ホークス監督の映画『モンキー・ビジネス』の中のカリー・グラントとマリリン・モンローの一場面を思い出します。(笑
『夏』(1943年)白い建物の入り口に佇む女性。白い服の下に彼女の肢体が透けて見えてます。意外の女性の肉体を暗示する作品もあり一つの発見でした。
車の中から見たような光景で、遠くからこの美しいポーズを眺めていたホッパーの視線を感じます。
『ニューヨークのオフィス』(1962年)。晩年の作品のうちの一つです。彼女は青い封筒を手にもちながら考え事でもしてるような感じです。これも遠くガラス越しに見える女性の姿を描いてます。ホッパーは近寄りがたい女性の美しさに惹かれるのでしょうか。何となくわかるような気がします。。。
この展覧会では彼の習作も展示されていました。グリザイユで描かれたモデルのポーズが既に、後に彼の描く世界を表しているようです。
『ニューヨークの映画館』(1939年)ホッパーの作品のなかでも大好きな絵です。残念ながら今回パリでは出展されてませんでしたが、映画館の壁に寄り掛かるこの女性は、上のグリザイユのモデルとまるで同一人物のようです。。。
お久しぶりです。
返信削除親が画家ということもあって、絵画の好き嫌いがものすごく激しいのですが、雰囲気があっていいですね。昔見た時は陰気臭くて苦手だと思っていましたが、今回写真を見たら何ともいい味があるな・・・と思えるようになっていて不思議です。完全な写実主義の作品だとこんな不思議な気分にならないけれど、きっとどこかが微妙に歪んでいて、写真のように描いたのではないというところにこの人独特の世界観があるのかな?なんて思いながら眺めていました。
ニューヨーク三部作で有名なポール・オースターの作品の中にいるみたいです。
最近、上海で翻訳家として仕事を始めましたが、やっぱり芸術に関わる生活をしたいなという気持ちは常にあります。実家にも芸術作品の在庫が溢れていますし・・・笑
こんにちは。
削除ホントおひさしぶりです!
絵画というもの文学と同じように、時間が経つとともにその見方も変わりますよね。
そうポール・オースターの小説は彼の絵にかなり影響されてるとおもいます。
映画監督ではヴェンダースのホッパー賞賛は有名ですし、この展覧会の入り口には
ホッパーの絵を彷彿とさせるヴェンダースの写真がオマージュとして展示されてました。
スペインから上海と世界を飛び歩いての活躍素晴らしいですね。
芸術に関わる仕事といえども沢山ありますが、でも、
見たり、読んだり、聴いたりして芸術に接するのが
究極は一番近くにいることだと思いますよ。