2009/11/09

DEAD LINE


先月『FIAC』というヨーロッパ中の主要アートギャラリーが集まる、年に一度のアートフェアーがオープンしたのですが、いつも盛大なヴェルニサージュがあります。
それとは別にちょうど同じ時期にパリ市近代美術館でめずらしい内容の企画展がはじまりました。『デッド・ライン』という題名ですが、昨日見てきました。
テーマは文字通りに、この10年以内に亡くなった12人のアーチスト達の晩年の作品が展示されてます。年老いて死んだアーチストもいれば、不治の病に朽ちたアーチストもいるのですが、彼らはそれぞれ「自分の死」を認識していました。そういう状況のなかで彼らが制作した作品には何か共通する何かが伝わってきます。
「癌」を宣告されたジェームス・リー・バイヤーが金色の壁に囲まれた部屋で金箔に包まれながら横たわったパフォーマンスの空間も再現されてました。彼は死ぬ直前にエジプトに行き、金を吹いて完璧な球体を作れる職人を探し歩いたそうです。


僕はなかでも、彗星のように現れ、そして45歳の若さで他界した上海出身でパリ在住だった中国人アーチスト、シェン・ゼン(陳箴) の作品に感動させられました。血液の不治の病だった彼は晩年は東洋医学の世界に引き込まれて行き、彼はその世界感を表現してます。その中の一つで、壊れそうなガラスのオブジェが綺麗だった。

『FIAC』のように美術界が総出で集まる華やかな場とは正反対に、孤独の中で死を直前にした作家が創造した作品を前にすると、死を超越しようとする『芸術の真髄』のひとつを示唆されるような気がしたのは僕だけでしょうか。。。



2 件のコメント:

  1. 先日はブログ訪問ありがとうございます。
    ガラス作品、美しいですね。
    実物も見てみたいです。
    作者の全存在を賭けて作り出したものなんですね。
    プロダクトとは違った、その壊れそうな造形が、とても切なく見えます。

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  2. >>Joe さんへ。
    コメントありがとうございます!

    そうこのガラスの作品、壊れそうなだけに美しいんでしょうね。
    彼は不治の「貧血」の病だったらしく。丸い造形は「血球」を無意識のうちに表現していたのではないかと、彼の友人の評論家が書いてました。

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