2012/01/11

アーティスト / The Artiste


正月の二日目から忙しさでパソコンの前を離れられません。クリスマスもお正月も遥か昔の事のようです(笑)
というわけでクリマス前っていうかこの秋に見た素敵な映画について。


『The Artiste』。この作品はフランスの恋愛映画なんですが舞台はハリウッド。しかも時代は1920年代後半から30年代にかかる頃です。映画産業が『サイレント』から『トーキー』に代わる頃の話です。
サイレント映画のスター、ジョージ・ヴァレンタインが「トーキー映画」へ転換について行けず、映画界から見捨てられ落ちぶれてゆく姿を描いたものですが、興味深いのは、この映画自体が「サイレント」なんです。ただ一カ所だけ、主人公が楽屋でコップを置くシーンで急に「音」が出て、彼は驚くのですが、同時に我々観客も驚きます。。。
今時、何処の誰がサイレント映画をプロデュースするのだろうかと驚くかぎりですが、まずはそれを構想しシナリオを書いたミッシェル・アザナヴィシウス監督に脱帽です。そして主演のジャン・デュジャルダンの演技が見事です。
彼がこれまで演じた役の殆どがコミカルなものばかり、シリアスな役はほんの2、3本と少ないのですが、彼の演技の幅の広さは定評がありました。しかし今回のサイレント作品で、つまり表情とジェスチャーだけで魅了する彼の底知れぬ演技力の素晴らしさ度肝を抜かれました。カンヌ映画祭で主演男優賞をとったのも当然のような気がします。
この映画をみてすぐに思いつくのは、同じようなテーマを描いたジェーン・ケリーの『雨に唄えば』です。何せデュジャルダンがケリーにそっくりな事もあるのですが。

サイレントの大スターだったチャップリンも当時「トーキー」への転換は当時の業界の傾向よりも数年の遅れをとっています。『アーティスト』は彼を描いているような気がするのは僕だけかなぁ。。。
あの1936年の名作『モダン・タイムス』は彼の最初のトーキー映画となるはずでしたが、彼は「サイレント」で仕上げています。ただ一つのシーンだけを除いては。。。

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