2012/05/05

ラ・ロッシュ邸(1923年)



サヴォア邸を見た翌日。Mさんと今度はパリの16区にあるル・コルビュジエが設計した『ラロッシュ邸』を見学しました。

去年一年近く修復のために閉鎖されていたのですが、綺麗になってまた公開されるようになりました。
ここは1923年に同郷のスイス人銀行家ラ・ロッシュの為に設計されたものでサヴォア邸より5年前です。
美術収集家でもあったラ・ロッシュのコレクションを飾るギャラリーでした。両側の壁の上からの採光は多くの作品を自然光で均等に照らすために考えられたようですね。
緩いカーブのある壁面素敵でそれにそって緩いスロープで二階に上がります。
しゃれたディテールの本棚はコンクリートで出来ていてベージュの色で統一されてます。
当時の写真では書物がびっしりつまっていて、天窓の下で本を広げてくつろぐ空間だったようです。

リビングにはオレンジ色が基調です。横長の窓が壁一面にあるのは当時は画期的だったのでしょうね。
この裸電球、傘がないのかと思ったら当時の写真をみるとこのままのデザインでした。かなり大胆ですね。
この壁かけランプもオリジナルみたいです。90年前からランプ自体のデザインは変わってない事にMさんと一緒に凄く感動しました。
入り口の吹き抜けです。四角いバルコ二ーが印象的です。三階にある横長のバルコニーの後ろが先の本棚です。
そのバルコニーから見える大きなガラス窓。ここから吹き抜けに溢れんばかりの陽がさします。5年後サヴォア邸ではこれが見事な一枚板のガラスになるんですよね。。。
窓から見入るMさん。。。入館者は皆このビニールの足袋を履かされます。
そしてその上3階から見下ろした光景。右端に見える女性はこっそりビニール足袋を脱いで記念撮影してました。(笑)
その上はテラス。外へは出れなかったので窓から写真だけ。。。
テラスを庭としてデザインした彼の最初の試みです。サヴォア邸でも重要な空間になってますね。
キッチンはバックステージ的な空間という感じでしたが、光がとても綺麗でした。
この天窓による採光とガラスの仕切りで小ささを感じさせません。
面白いのはエレベーター式のボックスがありました!
二階のリビングまで食事を上げるんですね。90年前だとしたら画期的ですよね。
外から玄関の上をみあげるとあの大きな窓があります。
建物の半分はル・コルビュジエの兄アルベール・ジャンヌレのために設計した『ジャンヌレ邸』。今は『ル・コルビュジエ財団』のオフィスになっており週末は見る事ができないようです。でも外側から二階の一文字に貫く「窓」の彼の意匠がよくわかります。
サヴォア邸でも意匠が明確になっていきますが、やはり駐車場が入り口のすぐ横にあり、ル・コルビュジエは確実にやってくる「車社会」を見越してたんですね。。。
当時のル・コルビュジエの最初のエスキースですが、左奥に既に駐車場が考えられてます、木の廻りの空間でUターンするのでしょう。。。そしてテラスが両邸に描かれてますね。今でこそ『ガーデンテラス』は普通の事ですが、パリの19世紀の建物に囲まれてる当時の空間では斬新的な試みだったのが解ります。

ということでこの建物は僕は10年振りくらいに見たのですが、あらためて感動しました!
初めて訪れたMさんも大満足でした。よかった。。。
Mさんは翌朝無事帰国されました。

2 件のコメント:

  1. コルビジェというと、なんとなく無彩色なイメージを持っていますが(椅子のせいかな)、オレンジやブルーがきれいですね。
    それにしても、機能美ってすごい。
    ・・・いや、ものすごい機能美、ですかね(笑)

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    1. 確かに彼の作品群のイメージは白が強いですよね。
      色の使い方もあくまでもその白に対比するように使われてます。
      それでも住宅の中はかなり大胆に彩度の高い色をつかってるみたいですね。

      当時のマニフェストで彼は「家は住むためのマシーン」と言って
      その例として機能優先の船室をあげてますが、
      でも実際に彼の建物を訪れてみると優雅な空間で
      ここの大きな吹き抜けも結構贅沢な空間です。

      でも無駄のない裸電球には驚きました!

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