凸面鏡

何年も前からヴェニスに来るとこのお店のウィンドーが気になってました。

グラン・カナルのCA' REZZONICOという停留所でおりるとすぐにあるCANESTRELLI（カネステレリ）という名前の額縁屋さんです。

この店先の前を通る度に、額縁に混ざって掛かっている凸面鏡に映り込む光景が面白いんで足を止めて写真を撮ってました。

今回はお店の中に足を入れてみました。メールで送った写真を見た日本の友人Yさんにヴェニスに行ったら一つ買って欲しいと頼まれたので、色々写真を送ってYさんが選んだのは、この紺色の額縁のついた鏡です。このモデルはヨーロッパには結構昔からあったもので、有名なのはファン・エイクの絵の中にも出てきます。Yさんはそれが気に入って是非とのこと。

この凸面鏡は古くは『魔女の目』L'OEIL DE SORCIEREといわれていて、何でも見えてしまうということで、その昔は高利貸しや宝石屋などに監視用に置いてあったりしたものでした。(この絵はルーブル美術館にあります）

ここでひとりで仕事しているおじいさんの名前はパウロさん。ここで家業をついで何十年も仕事してるそうですが、でも息子さんは建築家でこの仕事は継がないそうで私で最後だといってました。でも息子さんは別の場所にこの鏡だけを売っているブティックをだしていて結構ヴェニスでも有名みたいです。でもブティックよりこちらのアトリエのほうがお値段はずっとお得のようです。アトリエには可愛いお孫さんたちの写真が飾ってありました。もう私も歳だから来年あたりには店じまいをして停年暮しをするつもりだといってました。

この額は陶磁器で出来ていてシリーズは皆売れて、最後に残ったプロトタイプだとのことでした。そうなると僕も欲しくなってしまいましたが二つも持って帰るのは今回は難しいので、次回また来たときにという事に。一年以内にまた来れるといいんですが。。。