2012/08/01

Sans Soleil / サン・ソレイユ 1983年 Chris. Marker



昔の話ですが、短かった東京時代、僕は高円寺付近に住んでいました。或る夏にいつも買い物や食事をしていた商店街の「阿波踊り」を見に行ったことがありました。。。確か上京してきた姉と見に行った記憶があるのですが、あの頃は学生でカメラを持ってるのはごく稀な事で、思い出すには頭の中に残っている光景を手繰るしかないのですが。。。




クリス・マルケルの1983年の映画『サン・ソレイユ / Sans Soleil』の初めの一シーンに、その高円寺商店街の「阿波踊り」が出て来ます。見事なカメラワークにあっという間に祭りの中に引き込まれて行きます。
鉦・笛・太鼓が鳴りつづき、次第にトランスのような夢の境地に入っていく気持ちになります。初めてこの映画を見た時、短いこのシーンがとても強烈で、僕の記憶の底に埋もれていた光景が見事に甦ってきたのに感激しました。たまに夏に帰国して感じるのですが、近年は夏の「祭り」は「フェステイバル」になり「盆踊り」は「YOSAKOI」にとってかわりつつあるみたいだけど、高円寺商店街の阿波踊りは、あの頃の素朴さが残っているのだろうか、いつかまた見に行きたいものです。。。

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『Sans Soleil』のタイトルをクリス・マルケルはムソルグスキーの歌曲集『日の光もなく / Без солнца』からとっています。 

日本とアフリカの国ギニアビサウやカーボベルデの国々を飛び廻るリポーターのミッシェルから来た何通もの手紙を語りながら、『映像エッセイ』を構成してゆくという彼独特の編集は、その酔いしれる程の情報の多さに圧倒されますが、何度みても必ず新しい発見があります。
彼が撮る日本の女性は美しい。。。

ムソルグスキーの『日の光もなく』の中にこんな詞がありました。

人混みの中で貴方は私に気付かなかった。
私が貴方の眼差しをとらえたその時、
愛の喜びと忘れられた悲哀を感じた。

(ウィキペディアより)


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