真っ白い壁の上に使いふるした消しゴムが沢山くっついていて、そこには綺麗な光が降り注いでいました。ローズ・シャキノフスキー Rose Shakinovsky という南アフリカ生まれの女性アーチストの作品です。
週末にパリから車で東に一時間半ほど行ったところにあるボワシー=ル=シャテルという小さな街に行って来ました。ここには数年前に出来たコンテンポラリー・アートのための施設があります。ずうっと来てみたかったんですが、ちょいと遠いのでなかなか足を運べませんでした。来てみると、もと工場や倉庫だった所を利用した大きな展示スペースがありました。イタリアのトスカナ地方の街サンジミアーノにあるギャラリー「Galleria CONTINUA」がこのスペースを運営してるそうです。
外の芝生には白い花が一面に。。。と思いきや、近づいてみるとそれは
花びらをイメージした布きれ一つ一つにこれから地球上から絶滅していく花の名前が書いてありました。
フランスのアーチスト、ダニエル・ビュレンのインスタレーション。
毎日数人ぐらいしか見学に来る人はいないそうですが、この日の週末は晴天で僕がいた時間だけでも6、7人が見に来てました。
カメルーン出身のパスカル・マルチンヌ・タイユのインスタレーション。買い物のビニール袋だけをつかった作品です。このアーチストは去年のヴェニス・ビエンナーレで初めて知ってその精力的なインスタレーションに度肝を抜かれたアーチストです。
若くして亡くなった中国人アーチスト、シェン・ゼン CHEN ZEN。撤去された鉄道の枕木を利用して作られた重厚な作品でした。
イタリアの巨匠ミケランジェロ・ピストレットの段ボールを使っての迷路。
マンガのヒーロー、タンタンTINTINを南アフリカ人が彫った作品。。。先の消しゴムのアーチストです。
60年代から70年代にかけて『アルテ・ポヴェラ』ARTE POVERAというイタリアのアーチストグループがあったけれど、訳すれば「貧しいアート」という意味で、「大量生産」「消費社会」に背を向けた構えでした。上のピストレットをはじめ、素晴らしいアーチストが続出したし、現代のアートに多大な影響を及ぼしています。
でも考えたらアーチストは皆ヨーロッパの白人でした。21世紀の今はアフリカや中国のアーチストの作品。本当に西欧社会が吐き出す廃物を使っての作品が多いですね。ただしこれらのマーケットをコントロールするギャラリーは勿論白人ですけどね。。。
一時間以上かけて、学生バイトの女の子がこの大きな空間を僕も参加するグループを誘導しながら丁寧に解説してくれました。知らないアーチストが沢山いましたがよくよく注意して作品をみると半分以上は既に美術市場でも高値のついているものでした。パリから遠くこんな田舎にこんな空間があるなんてちょいと不思議ですが、この地域を活性化するのにもいいかもしれません。ただ現実はここを訪れる人たちはパリジャンが殆どでいえるでしょうし、市場は何と行ってもインターナショナルだし、果たしてこの街に現実的な還元があるかどうか。。。
まぁ、でも長い間閉鎖されたままだった工場や歴史ある倉庫跡がこういう形で生まれ変わるだけでもいい事だと思います。
真っ白い壁の消しゴムとダンボール迷路が好みです。
返信削除最近は日本でも地域の活性化のために地方で現代美術の展示をして話題になったりしています。
でも同じですねー。
見に行くのは東京の人。または都市部の人。
宿泊施設とかおみやげとか・・・何か地域に還元できるといいんだけど、それもままならない様子。
結局、東京からそこに移住した人が始めたカフェが一番流行っちゃったりして、
地元の人は相変わらず。という雰囲気もあります。
観る方は、展示の場所が変わると気持ちも変わっておもしろいですけどね。
現代美術といい空気!みたいな感じで。
>>Joe さんへ。
返信削除ピストレットの段ボールの作品は驚きました。彼程の巨匠がまったく新しい作品を展示してるんで。。。
いくら「エコロジー」を問題視した作品が多いとしても。現実的に現代美術が見ている方向は、「日常の生活」とかいうより「美術市場」が本命ですから、デラックス産業のように、ちょっと現実離れしてるものなんでしょうね。。。