2010/11/09

響きと怒り

今週末、土日と続けて映画を見ました。ウチのすぐ近所にある町の映画館へ。夏前からずうっと忙しくて何も見に行く暇もなかったんで、大きな画面で見るのはホント久しぶりでした。

見た映画の一つは、ウッディ・アレンの新作『You Wille Meet a Dark Stranger』です。彼の作品は最近見てませんでした。最後に見たのが『Cassandra's Dreams(夢と犯罪)』だから3年前。彼は年に一本は作る精力的な監督で、なかなかそのテンポについていけません。でも今回は気になる女優ナオミ・ワッツが出ているんで見逃せませんでした。多作ですが彼の作品は一貫してテーマがあるのか時間がたつと何本もの作品が同じ一本の作品に見えてくるんです。


もう一つの映画は、イングマール・ベルイマンの『En présence d'un clown (道化師と共に)』です。
これは1997年にテレビ映画として作られた作品で生前ベルイマンはテレビ以外で上映されるのを禁じていました。ハイビジョンとか現在の技術がなかった頃のビデオなんで画質はいまひとつでしたが、内容は素晴らしく「ベルイマン健在」というところでした。


ただ気になったのは、偶然なのかこの二本の映画、トップが両方とも同じ言葉で始まるんです。。。
それはシェークスピアの『マクベス』の中に出てくるマクベス王の言葉。(5幕の5場面)

人生とは幽霊の歩みだ。
哀れな役者が一時、舞台の上で声を張り上げ動きまわり、
そしてその後は誰も知らない。
それは白痴が話す、ひとつの物語だ、狂乱の響きと怒りにあふれている。
そして、そこには何の意味もない。

でも偶然でないかも知れません。なぜなら「コメディー専門」のウッディ・アレンが最も尊敬する監督は他でもない「ドラマの巨匠」ベルイマンです。彼はベルイマンを意識して78年に『Interiors/インテリア』を作ったけれど世間には不評でした。そして89年にジーナ・ローランズ主演で『Another Woman/もうひとりの私』を作ります。前者はベルイマンの『秋のソナタ』を、後者は名作『野いちご』を思い出します。僕はひそかに思うんですが、ウッディ・アレンが喜劇以外のジャンルでもきっと成功しただろうなぁっと。。。

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