それは四角いキャンバスの隅のほうです。画面一杯に厚みのある絵の具で覆われているキャンバスがここでは白くそのままむき出しになっていました。
もう一枚の夕陽が映り込んでいる作品の右下の隅にも下地がそのまま見えてまた。まるでまだ未完成のよう感じです。
印象派以後、若い世代のマチスやマルケの『フォーヴ』そしてピカソ、ブラックたちによる『キュビズム』といった『前衛運動』が盛んになり、またカンディンスキーやモンドリアンは『抽象絵画』の世界を開拓しつつあり、モネは「時代遅れ」あるいは、既に「美術史の中」の画家でした。彼は美術界から遠くはなれ、ノルマンディーのアトリエで孤独な生活を送るのですが、そんな中で彼がこの睡蓮シリーズを描いたのは1920年から他界するまでの1926年まです。所々に見える白いキャンバスには「未完成」というより、僕はここにむしろモネの「深い意図」を感じます。。。この描き残されたキャンバスを見ると、戦後、アメリカで開花する現代美術では、モネが『光とマチエール』を追求したのと同じような道をたどる若い世代のアーチストたちを思い出さずにはいられないです。早くはジャクソン・ポロック、マルク・ロスコなどの大きな作品群、70年前後ではロバート・ライマンのような「ミニマルアート」がたどったプロセスも、200枚以上ある睡蓮のシリーズでモネの求めていたものに限りなく近いものがあるような気がします。
しかしモネは若い頃すでに「マチエール」の重要さを追求した作品がいくつもあります。中でも僕はオルセー美術館にある小さな雪を描いた風景画『カササギ』という作品が大好きです。すでにこの時期にやろうとしてた事が、晩年の彼の大きな制作テーマになっていきます。そして後に現代絵画の方向性を暗黙のうちに示唆するように思えます。
クロード・モネという画家の偉大さをあらためて思い知らされました。。。
実は私がフランスに通っていた頃・・・
返信削除一度も門を開いてくれなかったオランジュリー美術館。
毎年いっても改装が長引いて長引いてとうとう行けないままになって
なんとも縁がない美術館でした。
今度行ったときは、必ずみれますね(笑)
それを楽しみに日々頑張ります♪
>>mamiko さんへ。
返信削除そう、改装工事長かったですよね。この辺は古い区域だから工事中に遺跡が出てくると考古学調査が優先され1年2年の遅れはざらにあります。発掘作業の展示や、ルーブル宮のように中世の建物の土台をそのままディスプレーしてました。
次回は是非見に行って下さいネ。ここの入場券は今はオルセー美術館とペアーで買えるそうです。