2010/01/13

冬物語


エリック・ロメール監督が死んだ。89歳だった。60年代ゴダールやトリュフォーと供に『ヌーヴェル・ヴァーグ』の中心的存在だった。沢山の作品を残してくれた。彼の女性描写は素晴らしい。。。いつも彼の映画が新しく封切りされるのを楽しみにしてました。
まるで日常の世界をそのまま普通に撮ってる感じがする程、彼の書く対話は自然でテンポがあります。 ロメールの映画で自然体で凄くいい演技をした俳優が、別の映画では妙に演技にこだわりがっかりしたことが何度もありました。
「六部作」や「四部作」などで出来ている彼の作品は、何本か数を重ねて観る事で、だんだん監督の描こうとしている事を感じとる事ができます。
最近リバイバルで映画館で観たってこともあるのですが、今すぐ頭に浮かぶのは『冬物語』。1992年の作品です。


この映画は『四季の物語』の四部作の一つです。
フェリシーはある夏のヴァカンスに恋に落ちる。彼の名はシャルル。熱く燃えた恋のあと、また逢うことを約束する。ところがフェリシーは何故か彼に住所を間違えて伝えてしまう。そしてそのまま連絡がとれなくなってしまう。このひと夏の恋のあとフェリシーは妊娠し、女の子エリーズを生む。その後5年間、何人かの男と付き合い生活を供にするが、彼女はやはりシャルルが忘れられなく誰ともうまく行かず、とうとう最後の彼とも別れてしまう。フェリシーは何故かまたいつか『逢える』ということをこころの何処かで信じている。『偶然』という事に人生を賭けるかのように。
そして、ある日バスの中にエリーズと座ると目の前にシャルルが。。。 出逢ったのである。最初に気がついたのは娘のエリーズ。何故なら彼女の部屋には『パパ』の写真が飾ってあるから。しかしフェリシーは横にいた女性を彼の奥さんだと思い込み、バスから降りてしまう!あわててシャルルは彼女の後を追いかける。。。

深く突き詰めると『パスカルの賭け』と言われる『偶然を信じる』とは何かを追求した哲学的テーマがこの映画の根底にあるわけですが。それを「フェリシーの愛」に置き換えた素敵な話です。。。
我々の人生、やはり偶然の産物かもしれないですよね〜。


安らかに眠って欲しい。

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